こういう考えは冷めていると承知で書いてみるが、僕は子供の頃から恋愛映画もラブソングも「誰かの『仕事』じゃないか」と思ってきた。つまり誰かがそれを作ったり歌ったりして報酬をもらっている、と。だからあのエンタメ業界に自分がよそから稼いできたお金をつぎ込むのはやめよう。どうせならあちらからもらってやろう、と思ったのが十代の時。今、映画、音楽、本はタダで観ている(経費になるという意味)。
現にミュージシャンや映画監督、俳優たちは何万人もが共感するような素晴らしい物語や歌を作って発表するが、実生活では離婚していない人の方が珍しかったりする。スクリーンの中にそういう惹かれ合う男女の「描写」があるだけで、実際は誰もがみなある意味で平等に、仕事と子育てという大きなミッションに立ち向かっており、仕事と家庭のバランスが取れたり取れなかったり成功したり失敗したりしながらひたすら進むのだ。だから僕も大好きな作品や歌はあるが、それを文字通り幕が降りれば終わる「お芝居」のように観たり聴いたりしている。私生活まで影響は受けないし (いや、一つだけ、「アバウトアボーイ」はそのライフスタイルに結果的に影響を受けてしまったことを告白するが)、どこかで誰かとそれについて話すことも最小限にしている。だってラブソングや映画、そして文学はフィクションであり、いわば「ウソ」だもの。ただし、「そんなこと実際にはありっこない」と言っているのではないところは強調しておく必要がある。むしろ「実際の人生にはそれ以上がある」と言っているわけだ。

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